無駄のないあがき

日々に疲れている全ての人類に癒しを。20代の人間による妄想×銭湯=癒しのブログ。

あの日、僕らはマクドナルドで胴上げのシュミレーションをしていた。

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あれは浪人生だった3月初旬のこと。

 

東京大学を目指し、河合塾で浪人していた友人と二人でマクドナルドにいた。

私立の大学受験は一通り終わって結果も発表済み、東大の前期を一週間前に受けて明日が合格発表という結果が気になって何も手につかない日であった。

 

家にいても特に何もする気が起きない私たちは、

昼から河合塾の近くのマクドナルドでとりあえず落ち会い、くだらない話をしていた。

 

恐らく、大学に入ったらサークルはどうするか、彼女はどうやったらできるかというような他愛のない話であったと思う。

 

他愛のない話も一通り終わり話題がなくなった時、私が提案したのか友人が提案したのか定かではないが、どちらからともなく「明日の合格発表のイメージトレーニングをしよう」という話になった。

 

現在も行われているが、当時東大は合格発表の時、構内に合格者の受験番号一覧がはり出された掲示板を出し、合格した人はその掲示板の周りで現役の東大生に胴上げされるというのが毎年の風物詩となっていた。

 

「胴上げをやられたことあるか?」「人生でほとんどない」

 

明日胴上げをされる可能性がある者としてやはり胴上げの練習をしていた方が良いのではないか、しかしながら胴上げというのは二人では出来ない、それならYoutubeで胴上げの動画を見て脳内シュミレーションをしようとなったのだと思う。

 

イメージトレーニングは大事だ。一流のアスリートですらも本番に備えてイメージトレーニングを積む。試験をすでに受け終わっている私たちに出来ることは、胴上げのイメージトレーニングだけだ。私たちはマックのポテト片手に動画を食い入るように眺めた。

 

合格の喜びに溢れた受験生が宙を舞う。Youtubeにアップされている東大合格発表の動画は全て見て研究した記憶がある。

 

「胴あげされている時の腕はこう。全国放送で流される可能性もあるから、笑顔はナチュラルに。」「落とされないか、大丈夫だろうか。そこそこ胴上げ経験の豊富な東大生に担当してもらいたい。」

 

合格発表の前日に胴上げのされ方についてイメージトレーニングを積んでいた受験生は、恐らく全国で私たちだけだろう。私たちは他の受験生に圧倒的な差をつけて胴上げされるために、マクドナルドで多くの時間を費やした。

 

Lサイズのポテトが無くなり、外が暗くなった頃、私たちは完璧に胴上げをマスターしていた。もうこのマックの店内で急に胴上げされたとしても、完璧なフォームで宙を舞えるぐらいに。

 

 

「それでは健闘を祈る」

 

 

二人の胴上げマスターは駅で別れた。

 

 

 

 

忘れもしない2013年の3月9日。

あの日、確かに横浜のマクドナルドの二階で、

二人の浪人生が胴上げマスターになった。

 

 

 

恐らく私たちの人生で胴上げに対する経験値が一番高まっていた瞬間に違いなかった。

 

 

 

 

そして運命の合格発表当日、

 

 

 

 

二人の胴上げマスターは宙を舞うことなくその日を終えた。

 

 

 

 

 

 

受験生の皆さん、

 

胴上げのシュミレーションを綿密に行っても落ちるということだけこの場を借りてお伝えします。